錦織圭とコーチ(マイケル・チャン)が受けた「人種差別」 よく耐えた、よく乗り越えた 全豪オープン、無念のベスト8

「欧米のスポーツ」とされてきたテニス。わずか17歳でこの世界の頂点に立ったチャンは、錦織に己の姿を重ね合わせていた。体格の壁を越え、逆境を跳ね返し、今、二人の東洋人が旋風を巻き起こす。 ■アジア人にしては頑張ったね 全豪オープン準々決勝、前回大会の覇者・バブリンカ(スイス)のサービスエースが決まり、錦織圭(25歳)の敗退が決まった瞬間、日本中が失意のため息に包まれた。 だが、現地で試合を見ていた海外のテニスファンの反応は、日本人とはまったく違うものだった。 錦織の健闘を称え、コートを去る背に拍手を送りながらも、観客たちはどこか満足気。 「アジア人にしてはよく頑張ったね」 彼らの表情は、そう言っているかのようだった。 米スポーツ誌『スポーツ・イラストレイテッド』で、テニスを専門に取材するベテラン記者のジョン・ワーサイム氏が証言する。 「日本では大人気だと聞いていますが、正直に言って、錦織は海外のテニスファンの心はまったく摑んでいません。というより、誰も錦織に興味がないんです。欧米人が期待し、関心を持っているのは、錦織ではない。自らの国の選手、つまり欧米のスターたちだけです。 では、なぜ錦織の試合が喜ばれたか。それは彼が負けたからでしょう。欧米人は自分たちのスターに懸命に立ち向かった末に敗れる、いいアンダードッグ(負け犬)が大好きなんです。観客たちが惜しみない拍手を送ったのは、彼らが望む通りそんなシナリオを、錦織が描いてくれたからですよ」 海外のファンが準決勝で見たかったカードは、あくまで、世界ナンバーワンプレーヤーのジョコビッチ(セルビア)と、前回覇者のバブリンカの一戦。つまり彼らが錦織に期待していたのは、「勝利」ではなく「健闘」だったというわけだ。 錦織に対する、この「人種差別」とも言えるアジア人軽視の風潮。それは、今回の全豪から始まったことではない。 「実力が世界で認められ始めた頃から、錦織はその空気を肌で感じてきたと思います。たとえば、'13年の全仏オープン。錦織は地元フランスの選手と戦った3回戦で、大ブーイングを浴びました。それも錦織に非はまったくなかったにもかかわらず、です。 相手のフランス人選手は、試合の合間にコーチから助言を受けた。これは禁止行為であるため、主審はペナルティとして失点を宣告しました。しかしこの判定にそのフランス人は猛抗議し、観客もそれを後押しした。錦織がサーブを打とうとするたびに容赦なく汚い野次が飛び、ポイントを取るたびにブーイングの嵐が起きた。地元の声援で片付けるには、あまりにも理不尽でした。観客たちの頭には、アジア人に対する蔑視があったはずです」(錦織を長く取材してきたテニスジャーナリスト) そして、徐々に世界ランキングを上げていった昨年以降、そんなアジア人への「差別」は、さらに顕著になっていったという。 「『年間10回以上の抜き打ちドーピング検査や、早朝に検査担当者が自宅や宿泊先に突然現れたことがある』と錦織は言っていました。こんなもの、アジア人に対する嫌がらせ以外の何物でもありませんよ。クルム伊達公子も、深夜に抜き打ち検査を受け、激怒していましたからね」(前出のジャーナリスト) ■同じ境遇の師に出会えた 自分より20cm以上も背が高く、200km/hを超える強烈なサーブを連続で放ってくる怪物のような欧米選手だけでなく、テニス界にはびこる人種差別という「見えない敵」とも戦ってきた錦織。若い彼はそのプレッシャーに押しつぶされ、大会序盤で格下相手にあっさり敗れることも少なくなかった。 それでも錦織は、苦境に耐え続け、ついに、昨年の全米オープンで準優勝。世界ランキングでも、日本人史上初となるベスト10入りを果たした。 今回の全豪オープンも、実力通り危なげなく勝ち進み、ベスト8まで進出。バブリンカには敗れたが、大会を通じて、かつてのような「メンタルの脆さ」はまったく見られなくなった。 なぜ、錦織はここまで強くなれたのか。いかにして差別に耐え、乗り越えることができたのか。 錦織一人では、ここまで来られなかった。'13年の12月から専属コーチに就いたマイケル・チャン。同じアジア系として、同じ苦難を経験してきたこの男がいたからこそ、錦織は強くなったのだ。 '72年、チャンは台湾からの移民だった両親のもと、アメリカのニュージャージー州に生まれ、'88年に16歳でプロ入りした。 だが、幼少期のコーチやスクール時代のチームメイトなど、チャンの周囲の人間は、誰一人その才能を認めようとはしなかった。 プロ入り後14年間、チャンのコーチを務めてきた兄のカールが振り返る。 「悲しいことだが、アメリカではアジア人に限らず、白人以外はみなある程度の差別を受けるんだ。たとえ才能があっても、それは免れない。弟のマイケルも、『絶対に成功しない』と言われ続けたよ。身長175?のアジア系移民の力を信じてくれる者は、一人もいなかった。 でもマイケルは、その偏見を力に変えた。『勝てるわけがない。相手に優っているところなんて一つもない』、そんな周囲の言葉が、元々あったマイケルの闘争心をさらに成長させ、誰よりも強いメンタルを持たせたんだ」 ■泥臭く勝利にこだわる そして、チャンが17歳で出場した、'89年の全仏オープン。浅黒い顔をした無名のアジア系選手のプレーに、観客は驚愕した。 縦横無尽にコートを走り回り、どんなボールにも貪欲に喰らいつく。劣勢に立たされても表情を崩さず、ポイントを奪っては雄叫びをあげる-。「アジア系には無理だと決めつけた奴らを見返してみせる」チャンはそんな闘争心をむき出しにして、次々と格上を倒していった。 なかでも、ベスト8をかけて戦った当時の世界ナンバーワン選手、レンドル(米国)との一戦は、いまもテニス史に残る伝説の名勝負となっている。 「強烈なショットで早々に2セットを奪ったレンドルの勝利を誰もが確信しました。振り回され続けたチャンは足がつり、立つのがやっと。休憩のたびに水をがぶ飲みし、バナナにかぶりつく姿に、観客はみんな苦笑していた。なんだアイツは、あれじゃイエローモンキーじゃないか、と……。 しかし、そこからチャンは驚異的な粘りを見せた。超スローボール、意表をつくアンダーサーブと、相手を苛つかせる作戦で徐々にペースを〓み、2セットを連取。最後はレンドルが根比べに敗れ、チャンは勝利した」(スポーツ紙ベテラン記者) 世界ナンバーワンを破った勢いで、チャンは全仏を制覇。17歳3ヵ月でのグランドスラム優勝は、現在も残る史上最年少記録だ。 アジア系には不可能とまで言われた、4大大会制覇を成し遂げたチャン。世界ランキングも、2位まで登りつめた。 だが、チャンのこれほどの活躍でも、テニス界に根強く残るアジア人への蔑視を根底から変えるまでには至らなかったという。 「大会後、チャンのアンダーサーブは、古くからのテニス愛好家の間で批判の対象になりました。『あんな相手を苛立たせる目的のプレーは、紳士のスポーツであるテニスにふさわしくない』というのが彼らの主張です。そしてそのプレースタイルに対しても、ある種バカにするような向きがありました。飛び跳ねるようにボールに飛びつき、コートを駆けまわることから、ついたあだ名は『バッタ』や『ドブネズミ』といったものでした」(前出の記者) その後もチャンはたびたび4大大会の決勝の舞台に立ったが、再び優勝することは叶わなかった。 そして'03年、チャンは31歳で引退。テニス界の偏見を変えるという志は、あと一歩のところで果たせぬままとなった。 引退後、チャンはひっそりと生活してきた。鋼のメンタルで世界と戦い抜いてきた男だけに、トッププロたちからコーチのオファーはひっきりなしにあった。だが、チャンはその一切を断り、静かに隠遁生活を送っていたのだ。 チャンが再び勝負の世界へと戻ることを決意したのは、引退からちょうど10年が経った、'13年の秋。彼は錦織からのコーチのオファーに応じた。 おそらくチャンは、自分が果たせなかった夢を託せる選手を待ち続けていたのだろう。それを示すように、錦織のオファーを受けた理由をこう語っている。 「同じアジアにルーツを持つ者として感じるものがあった」 それからは、錦織への熱血指導が始まった。『錦織圭マイケル・チャンに学んだ勝者の思考』の著者で、追手門学院大客員教授の児玉光雄氏が言う。 「チャンはコーチに就任して早々、『きっと君は私を嫌いになるだろう』と告げた。これは錦織を本気で強くしたいという、決意表明です。あるとき、チャンは錦織に『苦手な選手は誰か』と聞いた。錦織が答えると、チャンはその選手の映像を取り寄せ、徹底的に分析し、アドバイスを与えたそうです。そんな熱意に触れ、錦織もチャンを信頼するようになっていきました」 チャンが錦織の指導において何よりも重視したのは、脆かった精神面の強化。アジア人に対して好意的ではない、いわばアウェーの4大大会の舞台でも、錦織が臆せず戦い抜けるよう、徹底的に指導した。 「まずチャンは、錦織の技術面を一から作り直しました。元々コーチだったアルゼンチン人のボッティーニは、比較的選手の自主性を重んじるタイプで、錦織はそれに甘える部分があった。簡単にいえば、『今日はこの辺にしとく?』という感じで、練習を切り上げていたんです。 しかし、チャンは絶対にそれを許さない。それこそ、サーブのときのボールの上げ方、足の運び方など、ジュニアで教わるようなことをへとへとになるまで繰り返させた。練習のときのチャンはまさに鬼で、一切の妥協はなし。錦織は基礎技術が身についてプレーが安定しただけでなく、『これだけやったのだから』と自信を持ち始めた」(前出のテニスジャーナリスト) ■相手が誰でも勝つのは俺だ 徹底した反復練習と並行して、チャンが錦織に繰り返し言い聞かせてきたのは、「自分を信じろ」という言葉だ。 大人しい性格の錦織は、時として相手を必要以上に尊敬してしまう傾向があった。それが顕著に現れたのは、'11年にスイス・バーゼルで行われた大会の決勝で、フェデラー(スイス)に完膚なきまでに叩きのめされた試合だ。 「錦織はそのときのことを振り返り、『あの試合で自分を見失った』とチャンに相談した。するとチャンは、『お前は試合前から負けていた』と一刀両断。チャンが責めたのは、『尊敬するフェデラーと試合できてワクワクする』という錦織の発言です。チャンは、『たとえフェデラーだろうと、お前の道を邪魔する奴はすべて敵だ。過去の成績がどうであろうと勝つのは俺だ、という強い気持ちがないと絶対にトップには立てない』と伝えた。錦織はチャンの強い口調に面食らっていましたが、『これが世界を獲るための考え方か』と、深く納得していました」(前出のジャーナリスト) こうしたチャンの指導によって、錦織は確実に変わった。大会序盤で格下の相手に星を取りこぼすことはなくなり、たとえ格上が相手でも、「お前より俺のほうが強い」という強気の姿勢を前面に出すようになったのだ。 元々才能は誰もが認めていた。しかし「何か」が足りず、世界のトップに届かなかった錦織。チャンというコーチに出会い、その何かが埋まったからこそ、錦織は昨年の全米でついに覚醒し、準優勝。そして今回の全豪でも、ベスト8まで勝ち進んだ。 チャンの兄、カールが言う。 「今や錦織は、世界のトッププロの一人になった。だがマイケルは、『まだまだ満足していない』と言っていたよ。マイケルは錦織のゴールを、グランドスラム制覇、そして世界ランク1位と決めているからね。その目標のため、マイケルはこれからも錦織を鍛え続けていくつもりでいる」 人種の壁を越え、アジア人初の世界一へ。一人では高すぎる目標も、二人ならば越えられる。錦織とチャンは、そう信じている。 ovation x-rite shure akg sennheiser hd800 ue yamaha usa seymour duncan pantone

なぜ完結した作品を“再アニメ化”するのか?

『週刊少年サンデー』(小学館)の伝説のコミック『うしおととら』(原作:藤田和日郎)が今夏、TVアニメ化されることが先ごろ発表され話題を呼んだ。同作は1992年~1993年にOVAが発売されており、TVアニメは初となるものの、厳密には“再アニメ化”となる。ここ最近、『うしおととら』をはじめ、『美少女戦士セーラームーン』や『ドラゴンボールZ』『HUNTER×HUNTER』など、1980年代~1990年代に一世を風靡した人気作品の再アニメ化が相次いでいる。作品としてすでに完結しているものを、20年、30年経った今、なぜ改めてアニメ化するのだろうか? その背景や狙いについて探った。 【画像ギャラリー】大人女子の心をくすぐる『セーラームーン』グッズ ■“再アニメ化”には一部で批判の声も  “再アニメ化”と一言でいっても、現在放送中の『ドラゴンボール改』(フジテレビ系)のようにシリーズのなかで特に人気の高かった『ドラゴンボールZ』をデジタルリマスターで再編集した作品、『美少女戦士セーラームーン』に代表される、より原作に近づけるかたちで完全新作としてスタートした作品、また過去のアニメ化では制作されなかった一部のエピソードを抽出し新作アニメ化した作品まで、様々だ。ある意味再放送ともいえるため、メイン声優が旧作とほぼ同じ『ドラゴンボール改』を除いては、キャストは若手声優に一新されるパターンが多い。  なぜ改めてアニメ化する必要があるのか。根強いファンを持つ作品が多いだけに、再アニメ化発表の際には、旧作アニメファンから度々批判の声が聞かれる。過去に完結している作品をキャストも一新し完全新作としてイチから制作するというのは、旧作ファンからしてみれば嬉しくもありつつ、あの頃に夢中で見た作品を否定されたような複雑な気持ちにもなる。  再アニメされる理由のひとつとして挙げられるのが、長期シリーズに多い“原作との相違”という問題点。アニメの放映が長期化すると、アニメのストーリーが原作に追いついてしまうことがあり、その場合は、原作のストーリーがある程度進むまで、アニメ版オリジナルストーリーを差し込むこととなる。また、アニメ化にあたって、視聴ターゲットなどを考慮し原作にはないオリジナル要素を入れ込むことも多い。もちろん、オリジナル要素=悪いということではないのだが、再アニメ化作品はアニメのオリジナル要素をカットし再編集した『ドラゴンボール改』や、キャラクターデザイン、ストーリーをより原作に忠実にした『美少女戦士セーラームーンCrystal』など、原作ファンがより楽しめる内容となっている。原作者が「監修」というかたちで関わっているパターンも多く、これは過去のアニメ作品に少なからず不満を抱く原作者の“落とし前”の意味合いが強いのだろう。 ■子供だった世代も立派な社会人 再アニメ関連商品は“手堅い”  また、ふたつ目の理由のヒントとなるのが、旧作アニメの高額Blu-ray BOX(以下、BD BOX)が好調なセールスを記録していること。ここ1、2年ほど、3万円台から、時には5万円以上する作品まで、旧作アニメの高額BD BOXが新作に混ざって上位にランクインするケースが目立っている。以前、この高額BD BOXについて映像ソフトメーカーの担当者に話を聞いたとき、ターゲットのひとつとして「当時、まだ年齢的にVHSやDVDなどを購入することができなかった20代~30代のファン」を挙げていた。当時は子どもや学生だった世代も、今はある程度自由にお金を使える社会人になっている。彼らの購買意欲を掻き立てたことが、セールスを後押ししている。  これは再アニメ化された作品も同様で、アニメファン以外の購入も見込めるため、原作や映像商品、グッズなど、うまくいけば新作以上の売上も期待できる。実際、『セーラームーン』は「20周年プロジェクト」の一環としてリアルタイムで見ていた20代、30代の女性をターゲットにした下着セットやコスメなどを展開し、大ヒット。大衆的な人気を獲得しているだけに、改めて脚光を浴びさせることで、コンテンツ全体を活性化させることができるのだ。  しかし、再アニメ化が話題になっても、以前のように“社会現象”となるほどまで影響力を与える作品はいまだに生まれていないようにも思える。今後も冒頭の『うしおととら』や『銀河英雄伝説』など、多くの作品の再アニメ化が控えているが、直撃世代のみをターゲットに絞った安易な戦略では再び大きな渦を巻き起こすことは難しい。原作を知らない若い世代に響いてこそ、初めてムーブメントと呼べるのだ。 ovation x-rite shure akg sennheiser hd800 ue yamaha usa seymour duncan pantone

京セラが「タフネス」スマホを米に続きヨーロッパでも販売へ!なぜ日本メーカーでも京セラが成功したのか

京セラは日本でも販売中の高耐久性に優れたスマホ『TORQUE』をヨーロッパでも販売すると発表した。日本メーカーのスマホは今や海外で見かけられるのはソニーくらい。しかし最近では、そのソニーもぱっとした話題を聞かなくなっている。そんな中、今からヨーロッパへ進出するという京セラのニュースは明るい話題だろう。 日本メーカースマホの海外進出は失敗が相次いでいる。そんな中、京セラはなぜ今になってヨーロッパでの製品展開を行うのだろうか? それは「高耐久性」という特徴を絞った製品展開がアメリカでヒットし、アップルやサムスン電子などの大手メーカースマホとの差別化に成功したからである。 ヨーロッパでの発売が決まったTORQUE。高耐久性に優れている 京セラは日本国内で「DIGNO」ブランドでスマホを展開するほか、auの「URBANO」なども手掛けている。だがそれらの製品は日本国内専用モデルで、海外では販売されていない。 アジアではかなり昔に京セラブランドのケータイが販売されていたこともあるが、今では同社がスマホを手掛けていることを知っている人はほとんどいない。 ところが同じ海外でもアメリカに行くと、キャリアの店や家電量販店では、京セラのスマホをよく目にする。 実は、京セラはアメリカ市場において一定のスマホシェアを誇っているのだ。 と言っても販売されているのは日本で見かけるカラフルな製品ではない。黒いボディーで見るからに質実剛健なタフネス仕様のスマホなのだ。 元々CDMA方式のケータイに強かった京セラは、早い時期からアメリカ市場に参入していた。ところがiPhone登場後のスマホブームに乗り遅れ、同社がスマホを投入するころにはiPhoneやGALAXY、そしてMotorolaスマホなどが大きなシェアを占めており、後から参入する余地は残されていなかった。 京セラのアメリカの防水スマホHydroシリーズ。これだけ多数のラインナップがある だが、京セラは日本で培った防水技術に注目することで転機を掴む。 外見も強固に見える頑強さをアピールしたスマホ『Hydro』シリーズを投入。性能はミドルレンジながらプリペイドで100ドル前後となる低価格品をあえて投入したのだ。アメリカでもスマホはキャリアの2年契約で格安で高級でき、iPhoneも無料で買えるケースもあった。 しかし所得の低い層にとって毎月の高い基本料金を2年間払い続けるのは難しかった。HYDRAは100ドルで買い切り、あとは毎月プリペイドで安い通信料金で利用が可能という差別化を武器にする。 しかもこのクラスの製品を買う層はスマホを多少乱雑に扱うことも多い。 防水かつ頑丈に見えるHYDRAは、実用性の高いスマホとして低所得者層の人気を着々と集めていった。そして気が付けばアメリカでの京セラのイメージは「タフネススマホ専業メーカー」となり、京セラだけにしかできない差別化された製品メーカーとして市場での地位を確固たるものにしたのだ。 そしてHydraシリーズの人気に大手キャリアも興味を示し、スプリントにはTORQUE、ベライゾンには『Brigadier』と立て続けに高耐久性スマホを投入した。 その高い評判からTORQUEは、逆輸入で日本販売されたほどだ。そして今ではauから日本向けモデルも発売となっている。 アメリカではスマホだけではなくケータイもタフボディーな製品に絞っている 日本メーカーのスマホはソニーを筆頭に、ほぼすべての製品が防水防塵性を備えている。 ところが海外ではその性能に興味を示す消費者はほとんどいない。 世界中で売れているiPhoneが防水非対応なことからわかるように、防水機能は日本以外の国ではほとんど求められていないのが実情だ。ということは「防水」を特徴としたスマホを海外で売り出したとしても、それはアピールポイントにはならないのだ。 では京セラのTORQUEはどうだろうか? もちろんTORQUEは防水防塵・耐久性を備えた製品だが、ただの防水防塵・耐久性ではない。 MIL-STD-810G規格に対応する本格的なタフネス仕上げだ。 さらに、このTORQUEをビジネスパーソンがスーツのポケットから取り出しても違和感は無い。ミリタリー製品の一部にも見られるような機能性を追求がした美しいデザインを生み出したスマホなのだ。 またヨーロッパはキャリアがSIMロックスマホを販売する以外に、メーカーがSIMフリースマホを自由に販売している。 すなわち京セラもTORQUEを販売しやすい市場となっているのだ。TORQUEの単独販売が好調になれば、ヨーロッパ各国のキャリアも自社での取り扱いを京セラに要望してくるだろう。 これまで日本メーカーのスマホの海外戦略が失敗続きだったのは、機能も見た目も特徴の無い製品が多かったからだろう。 京セラのTORUQUEは、一見しただけでどんな製品かわかるルックスだ。しかも実際にちょっとやそっと落としたくらいでは壊れないというタフな仕様は海外の消費者にも簡単に伝わる。 メリットがわかりやすいTORUQUEはヨーロッパでもヒット商品になるに違いない。 patagonia アーメン ジョンブル 革靴 ブランド ノースフェイス the north face カンペール duvetica ショット

老人けいれん、倒れこむ乗客…地下鉄サリン事件生々しい記憶

オウム真理教元信者高橋克也被告(56)の裁判員裁判が13日、東京地裁で開かれ、地下鉄サリン事件の審理が始まった。  運転手役を務めた被告は、散布役の元幹部豊田亨死刑囚(47)を地下鉄日比谷線中目黒駅まで送り届けて、隣の恵比寿駅でピックアップした。  他の運転手役は無期懲役刑などに服している。先例に従えば、重罪は免れない。弁護側は「サリンをまくことは知らなかった」と主張。殺意と共謀を否定している。  被害男性(43)が出廷して生々しい事件の記憶を証言した。事件は1995年3月20日午前8時ごろ、東京中心部を走る地下鉄5車両でほぼ同時に発生した。当時は入社2年目の青年で、通勤のために中目黒駅から電車に乗った。  車内で座れて、すぐ眠ったが「(2駅隣の)広尾駅を過ぎたあたりで窓を開ける音と、シンナーのにおいで目が覚めた」という。向かいには「新聞紙にくるまったモノがあって、においの正体だと思った。透明の液体が床に漏れていた」  サリンだが、すぐには気づかない。「隣の隣のご老人がけいれんを起こしていた。何が起きてるか理解できなかった」。男性を含む乗客らは駅や路上で倒れこんだ。泣いている女子学生や、嘔吐している人もいたという。けいれんしていた老人は死亡した。男性が死んでもおかしくなかった。 「それまで見たことのない悪夢を見るように。血が飛び出るような映像が頭に浮かぶ。その後も『オウム』『地下鉄』『サリン』という言葉だけがグルグル回った」  そう語る男性は涙まじりに「なんでそんな目に遭ったのか、いまだに納得できない。いつもの電車のいつもの場所に座って…会社に行こうと思っただけなのに…」と声をしぼり出した。  事件に関与した信者を「非常に許せない」としたが、検察官から「処罰(感情)は?」と聞かれた瞬間に、弁護側や裁判所からさえぎられた。参加制度を利用して検察席に座っていた遺族は「そこはきちんと聞きたい」と不満をもらした。 patagonia アーメン ジョンブル 革靴 ブランド ノースフェイス the north face カンペール duvetica ショット

賞味期限切れチョコを溶かして「新品」に…驚くべき偽装の手口

バレンタインの売れ残りチョコレートが、ヤクザの新しい“シノギ”になっているという。 「チョコのシノギを始めたんだ」  指定暴力団三次団体の組長が、筆者にこう話す。このシノギは、ある食事会にやってきた菓子問屋の話を聞いて即決したという。翌日には不動産の手続きを開始し、窓口になる企業舎弟を割り振りした。 「必ず儲かる。堅いシノギになる。売れ残ることはまずない」  と、その組長は言う。あまりに自信たっぷりなので、代紋をかたどったチョコでも作り、組員や家族に強制販売するのかと勘ぐった。水や洗剤、コーヒーなどを仕入れ、組員に高値で売りつける組織はあちこちにあるのだ。 「考えが甘いかどうか見に来いよ。(記事の)ネタになるだろ」  組長に誘われて電車に乗った。 売れ残ったチョコレートを買い叩いて海外へ  東京から特急で30分、衛星都市の工業団地近くに倉庫はあった。変哲のない倉庫で、普段は地元の農家が路地野菜の出荷に使っている。入口の脇に小型のトラクターや農機具が雑然と置いてあった。知り合いを通じて、その一部を間借りしたという。 「ものには売り時ってもんがある。需要と供給だ。相場ってヤツだ。安い時に仕入れて、高い時に売るのが商売の基本だろう。バレンタインデーは菓子屋のかき入れ時。コンビニでさえ、一店あたり10~20キロは仕入れるらしい。工場は1カ月前からフル回転する。普段は100円のチョコが、その時期なら倍でさばける」  組長のスキームはこうだ。  今年、バレンタインデーで売れ残ったチョコを掻き集める。半分は業者に紹介してもらった工場からだ。その他、コネを総動員してありったけの売れ残りチョコを買い叩く。とりあえずどんな製品でもかまわない。  それらのチョコはいったんこの倉庫に集積し、卸問屋に5万円程度のギャラを渡して“選別”させる。ここで「廃棄処分」になったもの以外を、北海道に借りた同規模の冷蔵倉庫に運ぶのだという。  チョコの天敵は気温と湿度だ。高温多湿で溶けてしまうと商品として使えないし、チョコに混ぜ込んだクリームなどが酸化してしまうからだ。湿度が低く涼しい北海道なら電気代があまりかからず、輸送費を払っても十分に元が取れるという。  組長が説明する。 「賞味期限はチョコによってばらばらだ。工場が仕入れる原材料には1年以上もつものもあるが、俗に言うタブレットの板チョコは1年から1カ月。クリームなんかをたっぷり混ぜてる商品だと2週間程度のものもある。事前に経営情報を集め、現金が必要な工場を回って、原料として余ったチョコレートを買い集める。まとまった量なら、すでに製品の形になったものでもいい」  北海道に保管したチョコは、次のバレンタインデーがやってきて、全国の製菓業者の工場がフル回転する時まで寝かせる。そして、時期を見定め、寝かせておいたチョコをシンガポールに空輸する。それらがシンガポールの工場で再び溶かされ、タブレット(板チョコ)の菓子原料として生まれ変わる。 「すでに賞味期限が切れていたチョコが、これによって新品として取引可能になる。日本の法律がザルすぎだ」 菓子業界の“裏商売”にヤクザと半グレが乗った  このビジネスを仲介するのは、アジアをうろつく“半グレ”たちだという。 「あいつら(半グレ)、人脈とパイプだけはある。雑貨や健康食品などのシノギで、輸出入のノウハウも持ってるから便利屋としては使える。普通の若い衆に、シンガポールの工場探せっていっても無理だ」  こうして出来上がったチョコを日本に「再輸入」し、息のかかった菓子問屋にまとめて引き取らせる。菓子問屋が協力者となったのは、現金をすぐに動かせる旨みがあったからだ。 「卸問屋のインチキにいっちょ噛みした形だ。もともと、問屋の間では知る人ぞ知る裏商売だったんだと。銀行に『チョコの賞味期限をごまかして転売するから融資してくれ』とも言えないしな。そいつは事業を広げたいが現金がなかった。そこで俺が融資、というか投資することにした」  法の不備を突いた商売……。「違法」ではなくても、道義的に問題はあるだろう。こうして賞味期限をごまかしたチョコを大手の業者は決して買わないだろうが、利益率を上げるため、安い原料を欲しがる工場は全国にある。実際に、食べても問題はない。味の劣化は一般の顧客には判別できない。 「食ってみて味の違いが分かるのはパティシエくらい。一般人にはまず分からない。この仕事に金をぶち込むんだから、チョコの試食程度はした。東京でも有名な店は、やっぱりいいチョコを使ってた。何千円もするヤツ(商品)は、それなりの理由がある。反対に、馬鹿に安いものにはカラクリがあるということだ」  この組長は、自身の縄張りの中でホストクラブを経営している。そこに“ある指令”を出したと笑う。 「今年は『客からもらったチョコは回収する』と言ってある。頑張ってたくさんもらうよう、マネージャーには電話した」  ジョーク半分だろうが、組長がこのシノギに入れ込んでいることはわかった。  組長の新しいシノギは、暴力団らしく不正を下敷きとしている。が、詳細を聞くと、ヤクザの代紋のメリットはまるでなく、商売人の着想だ。  帰り際、土産にチョコをいくつかもらった。 「賞味期限切れのチョコだ。食ってみてくれ」   帰りの電車で食べたそれは、しっかりと甘く、ほろ苦かった。 鈴木智彦(すずきともひこ)1966年北海道生まれ。日本大学芸術学部除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーライターに転身。実話誌、週刊誌を中心に、幅広くアウロトー関連の記事を寄稿している。著書に『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(ともに文藝春秋)、『我が一家全員死刑 福岡県大牟田市4人殺害事件』(コアマガジン)など リーボック アーメン lee オーチバル モンクレー フレッドペリー クラークス ノースフェイス avirex

ディズニーR値上げ目的はぎゅうぎゅう詰め解消、効果ない?駐車料金3割値上げの意味

オリエンタルランドは、運営する「東京ディズニーランド(TDL)」「東京ディズニーシー(TDS)」の1日入場券に相当する「1デーパスポート」の料金について、4月から大人と中人(12~17歳)は500円、小人(4~11歳)は300円値上げすると発表した。昨年4月の消費増税に伴う値上げから1年しかたっていないにもかかわらずだ。今回の値上げにより大人の1デーパスポートは6900円となり、7000円台が目前。オリエンタルランドは昨年4月に発表した「2016中期経営計画」(15年3月期~17年3月期)で、テーマパーク事業に5000億円規模の新規投資を10年かけて行うと発表しており、2月2日付「日経ビジネスオンライン」記事『混んでいるのに値上げするディズニーリゾート』によれば、今回の値上げは今後増えていく投資の費用に充てられる見通しだという。  しかし、この記事タイトルは間違っている。「混んでいるのに値上げする」のではなく、「混んでいるから値上げする」のだ。  東京ディズニーリゾート(TDR)の来場者数は、開業翌年の1984年に1000万人を超え、2000年には約1700万人まで増加。01年にディズニーシーが開業し、翌02年には約2500万人。その後しばらく2500万人程度で頭打ちだったが、13年には約3130万人が来場している。  13年の例で見れば、365日開園しているので1日当たり約8万6000人の来場者。その10年前の03年では1日当たり約7万人なので、23%の伸びである。もともと混んでいたTDRが、さらに混んでいるのである。JR山手線や東海道線のロングシートが仮に10人掛けだとした場合、そこに12人座ることをイメージするとわかりやすいだろう。ぎゅうぎゅう詰めだ。  その結果、「日経ビジネス」記事によれば、「結局この日、5時間余りの滞在時間で乗れたアトラクションは2つだけ。あとはパレードを見て帰りました。これで1人6400円はあんまりです」という事態になっているのである。 ●価格が高いか安いかを定義するもの  では、このような状況を緩和する策として何があるのか?  ひとつに、入場制限が挙げられる。13年は30周年記念ということもあり、TDRでは延べ40回近く入場制限がかけられている。もうひとつの策が、値上げだ。値上げをすることにより来場者数が減少すれば、混雑を緩和することができる。  10年以前の古いデータしかないのだが、来場者数における大人料金を支払うセグメントの割合は、だいたい70%程度。13年に当てはめて考えると、約2200万人である。なので、大人セグメントのチケット売上額は1408億円。6900円に値上げした場合、来場者数が2040万人へ減少しても同額の売り上げを確保できる。そして、来場者数が減少すれば、混雑を緩和できることになる。  このような混雑緩和を目的とした料金値上げや料金付加は珍しい話ではない。03年2月から英ロンドンでは、コンジェスチョン・チャージ(混雑課金)が行われている。ロンドン市内では渋滞が日常茶飯事となっており、その混雑緩和のために特定時間帯にロンドン中心部へ車を乗り入れる際は、課金が行われている。これにより渋滞は30%解消され、交通量は15%減少している。  では、今回の入場料値上げにより、TDRの来場者数は減少するだろうか?   混雑緩和を目的とするのであれば、あまり効果はないと筆者は考える。理由は、以下の2つである。 (1)来場者1人当たりの平均消費額は1万1000円を超え、お土産に4000円程度、飲食に2200円程度費やされている。だとすれば、それらのやり繰りを含め、値上げ分の500円を吸収することは可能である。 (2)今回オリエンタルランドは、5000億円規模の新規投資を10年かけて行うとしており、それにより来場者の体験価値が高まれば、値上げに見合うコストパフォーマンスになる。  価格が高いか安いかは、すべてコストパフォーマンスにより定義される。6900円の牛丼は高いと思うだろうが、6900円のフランス料理フルコースは安いと感じる。提供価値と比較して、消費者はその価格のコストパフォーマンスを測るからだ。よって来場者の体験価値が高まれば、6900円でもその価格は高くないということになりうる。 ●混雑緩和に、より効果的な方策  このロジックで考えた場合、仮に混雑緩和を目指すのであれば、一番効果的なのは駐車料金の値上げであると考える。実際、入場料値上げと比較してあまり話題になっていないが、今回TDRは駐車料金を従来の2000円から土日祝日に至っては3000円と1000円の値上げを行う。こちらのほうが、クルマを使う来場者からしてみれば、負担感を感じるだろう。  なぜならば、入場料の6900円に対して来場者はTDRからさまざまな体験価値を提供されるが、駐車料金に対してはただ自動車を止めさせてもらうだけだからだ。つまり、あくまでも混雑緩和という一点だけに絞って考えた場合、駐車料金を4000円、5000円に値上げしたほうが、その目的は達成されるだろう。  ちなみに競合サービスと考えられるユニバーサル・スタジオ・ジャパンの場合、入場料は大人料金で7200円、駐車料金は土日祝日で3000円。パーク最寄りの駐車料金は4000円。TDRの価格は、これまでが競合サービスと比較して割安であり、ようやく同等の価格帯になったともいえる。  価格が上がることは、来場者にとって当然愉快なことではない。しかし、それによりアトラクションの待ち時間が減ったり、これまでより1つ多くアトラクションに乗れたり、駐車場待ちの時間がなくなったりすれば、来場者の満足度は向上するのである。 リーボック アーメン lee オーチバル モンクレー フレッドペリー クラークス ノースフェイス avirex

復活するガラケー あえて選んでいる人は3種類に分けられる

フィーチャーフォン、いわゆるガラケーが復活している。2014年のスマートフォン出荷台数が2770万台で前年比5.3%減となり2年連続で減少したのに対し、ガラケーは1058万台で5.7%増と6年ぶりに前年を上回ったからだ(MM総研調べ)。いま、あえてガラケーを選択する人たちには、大きく3つのタイプがみられる。 ●育み型  これまでガラケーユーザーはスマホに乗り換えるのが当然と考えられていた。しかし実際には、ガラケーを大切に使い続けている人が少なくない。2008年から同じガラケーを使い続けてきた40代の団体職員女性は、次の機種変更もやはりガラケーと決心がついた。 「6年前にEXLIMケータイのカメラに誘われて買ったのですが、結局、電話とメールしか使ってない。SNSは自宅のパソコンでしかやらないし、外出時にまでやろうとは思わない。  今のガラケーで不満はないけれど、さすがに5年以上使っていると電池ももたないし替え時かな。使っているのと同じメーカーで新しいガラケーが出て欲しいけど、見込みがないから思い切ってスマホにしようか悩みました。でも、メールを打つとき、物理的にキーがあるガラケーの方が使いやすいから、メーカーが違ってもまたガラケーにします」  スマホユーザーは2年経つと機種変更するケースが多いが、ガラケーでは同じ機種を5年以上使うことが珍しくない。「消費動向調査」(内閣府)によれば、携帯電話の買い替えは平均3.5年で行なわれる。だが、これはあくまで平均であって、どのくらいの頻度がもっとも多いかわかる「世界モバイル利用動向調査2014」(デロイト トーマツ)によれば、日本人の過去5年間における携帯電話の買い換え頻度は、1回以下が71%にものぼっている。  この買い替え頻度の少なさは、ガラケーユーザーが存在感を示しているからだ。次々と新しい機種に切り替えるのではなく、同じものとの関係をじっくりとはぐくむ使い方を好む人はガラケーを選んでいるといえるだろう。 ●使い分け型  外出先でも簡単に調べものができ、書類作成も可能だとスマホを導入した。ところがスマホでは使い勝手が悪く、その機能を補うタブレットが急速に普及率を上げている。タブレット使用者は端末によって機能を明確に使い分けるので、ガラケーと2台のモバイルを併用する。使い分けする人へ向けて、SIMフリーブランドfreetelから本体5980円(店頭想定価格)のガラケー『Simple』が2月中旬以降に発売される。 「freetelのユーザーには20~30代の男性が多く、必要最低限のものをリーズナブルに提供する弊社の理念に共感してくださっているようです。当初の発表よりも発売が遅れていている『Simple』ですが、毎日お客様から問い合わせがあります。お話ししていると、通話できればネット機能はいりません、とおっしゃるお客様が一定数いらっしゃることがわかります」(プラスワン・マーケテイング株式会社freetelカスタマーサポート担当者) 『Simple』は通話とショートメッセージ機能に特化したSIMフリーガラケーだ。Bluetooth接続対応なので、ハンズフリー通話も可能。freetelブランドのSIMカードだけでなく、NTTドコモやソフトバンクのSIMカードも使用できる。ガラケーと組み合わせる使い分け型の人たちにとって、選択肢が増えるのは朗報だ。 ●出戻り型  2008年にiPhoneが日本で発売されたことでガラケーからスマホへ乗り換える人が急増し、2010年に初代Xperiaが登場して加速、一昨年暮れから各種調査で発表されるスマホ普及率が次々と5割を超えた。その流れにのって、とりあえずスマホへ機種変更した人たちからガラケーへ出戻る人が出始めている。 「結局、スマホとして使わないんですよ。操作が複雑でメールも使いづらい。LINEを使いたいから次もスマホと言っている友だちもいるけれど、私の場合は家族がLINEを使わないんですよね。だったら、維持費も安いガラケーでいいかなと思って、機種変更から2年を待って、スマホからガラケーへ戻りました」(50代主婦)  スマホといえば、アプリをダウンロードして好みの機能をカスタマイズしてゆくのが醍醐味だ。ところが、日本ではアプリ・コンテンツへの積極性が低く、まったくダウンロードしない人が20%にも及ぶ(前出「世界モバイル利用動向調査2014」調べ)。一方でシンガポールや韓国のようにスマホ普及率9割超の国ではアプリを追加しない人は各々2%、4%しかおらず積極的だ。アプリを使わないなら、ガラケーに出戻るのは当然だろう。  タイプは異なるが一定数のユーザーが存在するガラケー。彼らに応えるかのように、各携帯キャリアも一年に一度はガラケーの新機種を発売するサイクルをつくりつつある。これからのガラケーは、1990年代に見られた高機能化とは異なる、使いやすさを中心とした進化を続けそうだ。 the north face グローバーオール モンクレー patagonia asics オニツカタイガー フィデリティ ショット オールデン porter